世界中の人がとても親切
スリランカのコロンボで忘れ物をした。
海外に行くならよくある話ではあるけれど、忘れ物といっても、このときは私にとって最大の忘れ物だった。
旅には片時も離せない必需品がぴっちりと入った小型のケース。
詳しく話すことにしよう。
だいたいこういうケースとか、手帳とか、万年筆、ボールペンなどに凝るくせが私にはある。
万年筆、ボールペンの類は、今のところイタリアのオーロラというのが気に入っているし、手帳はエルメスのを常用している。
バッグ類もエルメスの物が多いが、この忘れたケースも、わざわざエルメスに注文して作らせた旅専用のものだった。
大きさはちょうど新書版の本ぐらいの大きさで、三方つづきのファスナi付き、だからこのファスナーを開けると左右に開いて、そこに旅に必要な物がすべて入る。
まず中央の背にあたると乙うにボールペン・オーロラが差してあり、その陰にイニシャルが金の刻印で打ってある。
右側は縦に四段にポケットが切ってあり、中央から通貨、旅行小切手、名刺、そして最後は二つに仕切ってあって、クレジットカード、と、これらもフランス語で金の刻印が打ってある。
左手は三段。
右からパスポート、札、硬貨入れ(ここだけはファスナーが付いている)になっていて同じように刻印入りである。
さらにこれ全体が二重になっていて、上部から出し入れできるから大きな書類はこの中へ入れられる。
また、上部には提手がついているから持ちやすいし、つくった時には高価いなと思ったが、二十年も重宝して使っていると、高価いどころか、いい物を買ったという満足感でいっぱいだった。