道々、変なところへ行くのではないかと心配したのだが、確かに見覚えのあるダカール空港に着いた。
やれやれここまで来ればと、こんどは度胸を据えて、ゆっくり荷物も降ろさせた。
時間もたっぷりある。
さて金を払う段になった。
残された一枚の札、これで空港のポーターもまかなうつもりだった。
それでも小銭は残るはずで、その小銭はいつものようにして日本ヘスーヴニールにして持ち帰るつもりであった。
この際、相手がどうあろうと出さないわけにはいかず、そのなけなしの札をさし出した。
思いなしか、彼がニヤリと笑ったようだった。
いやな予感だった。
そのままその札をポケットに入れようとした彼に向かって、「チェンジ」と強く言った。
その大声にちょっとひるんだようだったが、それでも傲慢ともとれる顔をして、知らんぷりをした。
さらに大声で「チェンジ」と叫んだ。
まわりの連中がこっちをふり向いたようだった。
ここぞともう一声「チェンジ」、これがきいたのか、ポケットの中へ手を突っこむふりをした。
そのうちにまわりに二、三人の男が立ってわれわれのやっていることをじっと見ていた。
運転手はそれに気がついて、少なからずあわてはじめたようだった。
ここぞと、とどめの一声、ただしこんどのはドスのきいた低い声で、「ギブミーチェンジ」ちょっとていねいに言ってやった。
彼はポケットの中からいくらかの小銭を出して私の手に握らせると、そそくさとハンドルをつかんで飛ぶようにして行ってしまった。
まあ、くれりゃいいさと、その小銭を握ったまま、その中からポーターにもちゃんとチップを渡し、無事チェックイン、そしてゆったりと旅客待合室の椅子に腰をおろしたのである。
海外ツアーでも気を抜かないようにしようと思った出来事だった。